今回は、採用前に前職について情報収集したい医院からのご相談です。
現在、正職員を募集しているのですが、当院が希望しているような人材からの応募がなかなかありません。そのような中、条件は合致するものの、転職歴が多い人から応募がありました。履歴書や面接で前職の仕事の内容や退職理由を確認する予定ではありますが、できれば直接、以前勤務していた職場に尋ねることはできないかと考えています。このような対応は問題ないでしょうか。
前職の情報収集方法の一つとして、医院から直接、以前勤務していた職場に問い合わせることも考えられますが、個人情報でもあるため提供される可能性は低く、また、望ましい対応とはいえません。前職の情報を収集したいのであれば、応募者から以前勤務していた職場に「退職証明書」を発行してもらい、その内容を確認するという方法があります。
求人に応募があった場合、履歴書や職務経歴書を提出してもらい、筆記試験や面接試験を経て採用を決めるのが一般的です。特段の問題がなければ、そのまま内定とし、勤務開始となります。
一方で、例えば転職回数が多い人や、明確な理由なく前職を退職し応募までの期間が長い人については、前職での担当業務や退職理由も気になります。前の勤務先からの情報も欲しいところ……。この場合は、応募者に「退職証明書」の提出を求めるとよいでしょう。
退職証明書は、労働者が退職したときに、その勤務先が必要事項を証明するために交付する書類です。退職者から請求があった場合に、遅滞なく交付することが義務付けられています(労働基準法第22条)。
退職証明書には、次の事項のうち、退職者が請求した事項のみが記載されます。